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ある警察官の殉職:狩野川台風(1958年)

最近、強い雨が多いとよく言われます。しかし、東京(大手町)における日雨量の歴代記録を調べてみますと

1.371.9ミリ 1958年9月26日
2.278.3ミリ 1938年6月29日
3.259.5ミリ 1996年9月22日

となっており、最近の降雨記録は1958年9月26日に記録された、歴代1位の371.9ミリに遠く及びません。

1958年9月26日、この日は台風22号(狩野川台風)が三浦半島に上陸し、伊豆半島や京浜地区に死者・行方不明者1269人に達する大災害をもたらしました。

狩野川台風の進路(台風災害データベースシステムによる)
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東京をはじめとする都市域でも崖崩れが多発し、多くの死傷者が出ました。その記録が、赤羽警察署の裏にひっそりと立つ、「園部警部補のきねん碑」に残されています。

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碑文には次のように書かれています。

昭和三十三年九月二十六日夕方赤羽警察署の園部警部補は第二十二号台風による崖くずれの警戒中倒壊家屋の下敷となった親子四人を身を挺してたすけ出し更にとり残された幼女を救おうとしたとき再度の崖くずれがあったため倒壊した家屋もろとも濁流におし流されて壮烈なる殉職を遂げたものである。その後殉職のこの地に近い第三岩淵小学校ではこれを生きた教材としてとりあげたところ学童は自らの手でささやかな碑をたて、花を捧げ感謝の日誌を綴って園部警部補の冥福を祈る。これを伝えきいた渋谷に住む石龍さんは園部警部補の殉職と学童のまごころに感激永久に記念されるべきものとしてここにこの碑を建立されたものである。昭和三十四年五月五日建立

東京都心での土砂災害というのは、今ではなかなか想像しにくいことですが、外力としてこれくらい強い雨が降れば、今でもこのような土砂災害が起こる可能性があります。幸い過去49年間、狩野川台風を超える大雨は東京では降っていませんが、今後この記録を超える大雨が降る可能性もあります。園部警部補のきねん碑は、過去の出来事を記憶し、来るべき災害に備えておくための記録でもあります。

きねん碑は、赤羽警察署のご厚意で見せていただきました(受付で申し上げたところ、快く案内していただきました)。記して感謝いたします。

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