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台風0709号接近時にレーダで観測されたメソサイクロン

はじめに

台風0709号(Fitow)が関東地方に接近中の 2007年9月6日午前2時40分(日本標準時)頃に,東京都調布市の佐須町付近で突風による屋根瓦・ビニールハウス等の被害が発生しました[東京管区気象台による報道発表資料(PDF)].当時,神奈川県海老名市に設置した防災科学技術研究所のXバンドマルチパラメータ(MP)レーダと神奈川県横須賀市に設置されている防衛大学校のドップラーレーダによる同期気象観測が行われており,突風発生時に調布市佐須町付近をメソサイクロンと呼ばれる直径数キロメートル程度の小規模な低気圧を伴う積乱雲が通過する様子が観測されました.

初期解析結果

図1は2007年調布市付近の高度2 kmにおけるレーダ反射因子(強い降水ほど大きな値をとるレーダパラメータ)と積乱雲の移動に相対的な水平風ベクトルを示しています.突風発生時には,南東-北西の走向をもつ積乱雲群が調布市付近を北西方向へ通過中で,その積乱雲は渦状の循環を伴っていました.同時刻同高度における鉛直渦度(渦の強さを表す値.時計回りの場合は負の値,反時計回りの場合は正の値となる.)を図2に示します.調布市付近には 0.01 s^{-1} を超える大きな鉛直渦度が解析されており,このような強い渦(メソサイクロン)の下では竜巻が発生しやすいことが知られています.

この渦状の循環を伴う積乱雲は数十分前から観測されており,今回のようなドップラーレーダの観測を常時行うことが,突風災害の監視・予測において効果的であると期待されます.

謝辞

本研究は平成19年度科学技術振興調整費「竜巻等の実態および発生予測と対策(研究代表者:田村幸雄,東京工芸大学教授)」によりサポートされています.また,本研究は防災科学技術研究所の研究プロジェクト「MPレーダを用いた土砂災害・風水害の発生予測に関する研究」の一部です.

参考資料



図1: 2007年9月6日0240 JSTのレーダ観測による高度2 km のレーダ反射因子と積乱雲の移動に相対的な水平風ベクトル.星印は調布市佐須町の位置を示す.

図2: レーダ観測による高度2 km の鉛直渦度.詳細は図1に同じ.