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津波堆積物調査によるインド洋の津波繰り返し周期とその挙動の推定

EC logo.bmp ISDR1.bmp NIED1.bmp

国際連合/国際防災戦略(UN/ISDR)委託研究
寄贈団体:欧州委員会 (EC)
実施期間:平成20年1月〜平成21年3月
研究代表者:岩崎伸一、研究員:真木雅之、栢原孝浩

目的

津波堆積物調査により過去の津波の発生時期を特定することによって、インド洋における将来の津波リスク評価を公開する。津波が起こりうる他の地域でも採用できる津波堆積物調査の手法・技術をこの共同プロジェクトを通して提供していく。

対象地域をスリランカ、インドネシアとし海岸線沿いの堆積物を採取する。得られたサンプルを微化石分析し、年代測定や微化石分析の結果もふまえて、津波堆積物の認定を行う。また、津波堆積物の分布範囲といったシミュレーションに必要なパラメータを提供することによって過去の津波の規模や波源域、また津波を発生させた地震像についても明らかにする。

研究内容

津波の発生履歴

プレートの境界線に沿って起こる地震による津波は本質的に繰り返され、その周期は100年以上、または、それよりさらに長い周期で起こるとされている。残念ながら、インド洋の国々で起きた津波の記録は、最大400年間しか遡ることができず、津波の再発周期を測定するには短すぎるため特定できないが、一方で津波が起きると海底の物質を海岸線に堆積物として残していくため、津波の堆積物調査は、放射性年代決定の手法を用いて津波の周期を明らかにすることができる。また、海岸線沿いにある堆積物の層の厚みの変化によって津波の規模やスピードも明確にすることができる。

過去の津波堆積物との識別

この地域での津波の堆積物を他の災害(例えば高潮や洪水)と識別することが重要である。津波の堆積物には塩が含まれており、通常の堆積過程によって陸地や潟に蓄積された他の堆積物と識別するのは容易である。2004年のインド洋での津波の研究は、津波堆積物の判断基準となる情報をより多く提供してくれる。

堆積物調査による津波の規模、周期、挙動の推定

津波の規模は、海岸線を越えた向こう側の津波浸水範囲と堆積物の層の厚みの変化を数値化しシミュレーションすること、また、地理的なデータを活用することによって推定することができる。津波の周期は主に放射性年代決定の手法により推定することができる。
津波の流れ、回数、進行方向といった動作は堆積された津波の層を調べることで明らかになる。

調査地、調査内容について

スリランカ調査

スリランカの調査は東北大学を中心とする研究グループが行う。調査地は、スリランカ沿岸部ハンバントータ周辺で、陸上・湖沼・海上の掘削を行う。
掘削に使用するコアラーは目的の堆積物が採取できるよう独自に作成する。陸上では、深度20m程度の柱状堆積物試料を複数地点で掘削する。湖沼・海上での掘削は、足場を組む必要があるので、可搬組み立て式フロート型プラットフォームを作成し使用する。現地で柱状堆積物試料の記載、試料採取を行った後、採取した試料を日本に持ち帰り、年代測定や粒度分析などを実施する。

【スケジュール】
期間 作業内容
2008年6月 スリランカでの現地調査
2008年9〜11月 掘削作業
2008年10〜12月 試料の分析(年代測定、粒度分析など)
2009年1〜3月 研究成果のまとめ

【現地の写真】
スリランカ地図.bmp
津波堆積物調査を行ったスリランカ南部地域の地図
(アムバランゴダ、タンガーラ、ハンバントータ、キリンダ)

Yala national park.bmp
ヤーラ国立公園にて、独自に作成した掘削用コアラーを使用し、掘削の事前調査をしているところ。

lagoon in Hambantota.bmp
ハンバントータのラグーンにて、掘削地を決定するため、湖底堆積物中の津波堆積物を探すための音波探査を行った。

Main drilling near Tangalla.bmp
タンガーラの近くで、堆積物サンプルを採取するため、掘削作業を行った。

インドネシア調査

インドネシアでの調査は、産業技術総合研究所を中心とする研究グループが行う。調査地は、西スマトラ州、ブンクル州およびナングロ・アチェ・ダルサラーム州の沿岸低地で、ハンディジオスライサーを使用し10ヶ所で掘削をする。現地で堆積物記載、試料採取を行った後、採取した試料は日本に持ち帰り、年代測定、微化石分析を実施する。

【スケジュール】
期間 作業内容
2008年6〜7月 スマトラ島現地調査・掘削作業
2008年8〜2月 試料の分析(年代測定、微化石分析など)
2008年11〜3月 研究成果のまとめ

【現地の写真】
インドネシア地図.bmp
津波堆積物調査を行ったインドネシアスマトラ島の地図
(ナングロ・アチェ・ダルサラーム州・Meulaboh市、西スマトラ州・Padang市)

画像1.jpg
2004年の地震によって沈降した海岸.沈水して枯れた木が見える.スマトラ島、ナングロ・アチェ・ダルサラーム州

画像2.jpg
2004年の地震によって沈降した海岸.手前に見える木は砂浜の浸食により根が洗い出されて倒れている.スマトラ島、ナングロ・アチェ・ダルサラーム州

画像3.jpg
津波で壊されたモスク跡.スマトラ島、ナングロ・アチェ・ダルサラーム州、Meulaboh近郊

国際シンポジュウム 

Estimating the Recurrence Interval and Behavior of Tsunamis in the Indian Ocean via a Survey of Tsunami-related Sedimentation
=津波堆積物調査による インド洋の津波繰り返し周期とその挙動の推定=

日程

2009年3月18日〜19日

場所

つくば国際会議場

講演スケジュール

2009年3月18日(水)

時間 講演者 講演タイトル 講演内容
-Opening Remark
13:30-13:45 Yoshimitsu Okada (President,NIED)
岡田義光 (理事長 防災科学技術研究所)
-Keynote Speech
13:45-14:15 Kenji Satake (Univ. of Tokyo)
佐竹健治 (東京大学)
Forecasting future earthquakes from tsunami deposits and simulation Presentation_Kenji Satake.pdf(607)
-Tsunami in Indonesia
14:15-14:45 Andrew Lathrop Moore (Earlham College) Hydraulic inferences from sediments of the December 2004 Indian Ocean tsunami along the Sumatra coast of Indonesia Presentation_Andrew Moore.pdf(434)
14:45-15:15 Eko Yulianto (LIPI) Predecessors of the 2006 South Java Tsunami Presentation_Eko Yulianto.pdf(649)
15:15-15:30 (Break)
15:30-16:00 Shigehiro Fujino (AIST)
藤野滋弘 (産業技術総合研究所)
Preliminary results of paleo-tsunami study in Aceh Province Presentation_Shigehiro Fujino.pdf(768)
16:00-16:30 Katrin Monecke (Univ. of Pittsburgh) A rapidly prograding beach ridge plain in northern Sumatra as an archive for past tsunamis Presentation_Katrin Monecke.pdf(770)
16:30-17:00 Aditya R. Gusman (Hokkaido Univ.) Source Model of the 2007 Bengkulu Earthquake Determined from Tsunami Waveforms and InSar Data Presentation_Aditya R Gusman.pdf(650)
-Reception
17:00-17:05 Announcement regarding Reception
18:00〜 Reception

2009年3月19日(木)

時間 講演者 講演タイトル 講演内容
-Tsunami in Sri Lanka
09:00-09:30 Nalin P. Ratnayake (Moratuwa Univ.) Sedimentary records and the environmental impacts of the 2004 Indian Ocean tsunami at Sri Lanka -
09:30- 10:00 Amarasingha Vidana Pathiranage Vijitha (Moratuwa Univ.) The overview of the joint research project for the paleo-tsunami deposits in Sri Lanka Presentation_AVP Vijitha.pdf(714)
10:00-10:30 Kazuhisa Goto (Tohoku Univ.)
後藤和久 (東北大学)
A sedimentary record of the tsunami recurrence in Sri Lanka -
10:30-10:45 (Break)
-Tsunami in Thailand
10:45-11:15 Kruawun Jankaew (Chulalongkorn Univ.) Hunting for Paleotsunami Deposit in Thailand Presentation_Kruawun Jankaew.pdf(452)
-Tsunami Disaster Mitigation
11:15-11:45 Tomoyuki Takahashi (Akita Univ.)
高橋智幸 (秋田大学)
Hydraulic approach to tsunami deposits -
11:45-12:15 Hamzah Latief (Institute of Technology Bandung) Probabilistic Tsunami hazard analysis model for input to Tsunami disaster mitigation strategies in Banda Ache city -
12:15-13:15 (Lunch)
13:15-13:45 Manoj Mudannayake (The Disaster management center of Sri Lanka) Changing Perception and Moving Towards Building a Safer Sri Lanka Presentation_Manoj Mudannayake.pdf(652)
13:45-14:15 Tadashi Nakasu (NIED)
中須正 (防災科学技術研究所)
Tsunami Disaster Mitigation Considerations - The Social Perspective of Tsunami Disasters - -
14:15-14:45 Jane Cunneen (IOC-UNESCO) Indian Ocean Tsunami Warning and Mitigation System: the role of tsunami risk assessment Presentation_Jane Cunneen.pdf(692)
-Closing Remarks
14:45-15:00 Kazuhisa Goto (Tohoku Univ.)
後藤和久(東北大学)

要旨集

tsunamis_symposium_Mar2009.pdf(605)

関連資料

・国際機関・海外インド洋津波ポータルサイト:http://www.bosai.go.jp/library/link/link_tsunami/t_index.html
・2004年 インド洋津波 コレクション:http://www.bosai.go.jp/library/link/TsunamiWeb/TsunamiCollection_J.html
・UN/ISDR アジア&太平洋支部(英語版):http://www.unisdr.org/asiapacific/
・JICA−スマトラ沖大地震・インド洋津波への対応:http://www.jica.go.jp/sumatra/index.html
インド洋津波蔵書リスト(日本語、英語)

共同研究者

今村文彦(東北大学)
後藤和久(東北大学)
原口強(大阪市立大学)
箕浦幸治(東北大学)
藤野滋弘(産業技術総合研究所)
西村裕一(北海道大学)
佐竹健治(東京大学)
藤原治(産業技術総合研究所)
Brian Atwarter(University of Washington and US Geological Survey)
G.Papadopoulos(National observatory of Athen)
Hamzah Latief(Institute of Technology Bandung(ITB))
Muzailin Affan(Syiah Kuala University)
L.Raveenthoran (Lanka Hydraulic Institute(LHI))
Samatha Hettiarachchi (Moratuwa University)
Saman Smarawickrama (Moratuwa University)