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平成27年台風18号による関東地方の大雨に関するレーダ解析(速報)

更新履歴

平成27年9月15日 初版掲載

本件に関する連絡先

水・土砂防災研究ユニット担当者 清水・出世・三隅
アウトリーチグループ担当者 菊地・三好(029-863-7784)

概要

平成27年9月9日〜10日にかけて関東地方に甚大な被害をもたらした降雨帯について、6台のXバンドMPレーダを用いて3次元構造を調べたところ、以下のことが分かりました。

  • 房総半島の両側から、2本の降水システムが合流することによって、関東北部で雨量が強まったと考えられる。
  • 降水エコーの高度は最大12km程度であり、2014年広島豪雨をもたらした積乱雲群(高度約15km)よりやや低かった。
  • 24時間雨量が栃木県の鬼怒川上流域で大きな値を示した。

XRAINによる24時間積算雨量

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図1 2015年9月9日15JSTから翌日の15JSTまでのレーダ解析から求めた24時間積算雨量の分布。解析には、国土交通省のXRAINのレーダデータを用いた。

積算雨量の分布は鬼怒川上流の栃木県北部で最大となり、南側に帯状に分布している。最大雨量は栃木県北部(今市市周辺)で解析された。なお、図中で用いた地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(行政界、海岸線)を使用した(許可番号: 平20業使, 第253号)

3次元レーダ反射強度分布

栃木県北部をピークとした南北の帯状に広がりをもつ降雨域を説明するために、神奈川県海老名市に設置されている防災科研のXバンドMPレーダおよび国土交通省XRAIN(新横浜・埼玉・船橋・八斗島・氏家)の、計6台のXバンドレーダデータを用いて、降雨の三次元構造の時間変化を調べた。

房総半島の両側から2本の降水システムが合流し、関東北部の強雨域を形成している様子が分かる。

青・黄色・赤の等値面はそれぞれ30dBZ、40dBZ、45dBZのレーダー反射強度(降雨強度換算で、それぞれ3mm/時、12mm/時、24mm/時)を示す。図中の鉛直上向き矢印は高度12kmの高さを示すスケールである。図中の青い矢印は降水域の移動方向を示す。なお、図中で用いた地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)、数値地図50mメッシュ(標高)、および数値地図 5 mメッシュ(標高)を使用した(許可番号: 平17総使, 第635号)

動画はこちらから(約80MB)

9月9日 16:40 JST

南から北進する降水域と南東から北西進する降水域の合流が栃木県周辺で観測された。

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図2 2015年9月9日16:40JSTのレーダ反射強度の3次元分布図。

9月10日 00:00 JST

東京湾を北進する発達した積乱雲群と房総半島上空で発達した北進する積乱雲群が
継続的に合流し、栃木県周辺で大雨をもたらした。

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図3 図2と同じ。ただし、2015年9月10日00:00JSTのレーダ反射強度の3次元分布図。

9月10日 03:00 JST

南北200 kmに延びた降水域が観測される。
関東南部では、複数の積乱雲の列が形成されていた。

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図4 図2と同じ。ただし、2015年9月10日03:00JSTのレーダ反射強度の3次元分布図。

9月10日 07:50 JST

関東北部の降水域は、中心を茨城県に移した。7:45 JSTに茨城県に大雨特別警報が
発表された。

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図5 図2と同じ。ただし、2015年9月10日07:50JSTのレーダ反射強度の3次元分布図。

最大レーダ反射強度を投影した南北鉛直断面

 図2から図5で示した三次元の反射強度の最大値を、南北鉛直断面図としてプロットした。横軸と縦軸は、それぞれ、緯度と高度を表す。

この図によって、積乱雲の大まかな高さと南北分布の時間変化を追跡することができる。
積乱雲による降雨は高度約12 km以下に留まっている。また、強い降水の存在を示す、大きなレーダ反射強度(図中では、黄色と赤色)の分布が高度6 km以下に集中していることが分かる。

図中のレーダ反射強度(10dBZ、15dBZ、20dBZ、25dBZ、30dBZ、35dBZ、40dBZ、45dBZ)は
降雨強度に換算すると、それぞれ、0.1mm/時、0.3mm/時、0.6mm/時, 1.3mm/時、2.8mm/時、5.6mm/時, 11.5mm/時, 23.7mm/時に相当する。

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図6 図2で示した反射強度の3次元分布の最大値を南北鉛直断面に投影した図。解析した期間は、9月9日15時(日本標準時)から9月10日12時である。時刻は図の上に記載した。