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7月29日に群馬県館林市で発生した竜巻について(速報)

2009年7月27日午後2時頃、群馬県館林市で竜巻と思われる突風が発生し、窓ガラスが割れる、家の屋根が剥がれる、車が横転するなどの被害が生じました。気象庁や館林市の被害調査によれば、竜巻は幅 50m の範囲で同市を西から東へ約 6.5 km移動したと推定されています。同時刻には、X-NET (注1)に参加している日本気象協会が埼玉県羽生市に設置しているXバンドドップラーレーダが連続観測中で、距離 10km 程度の近距離から竜巻に関連した渦を捉えることができました(参考: http://www.jwa.or.jp/content/view/full/2796/ )。防災科学技術研究所ではこのレーダのデータを解析すると共に、現地調査を行いました。

図1はこのレーダで日本時間14時01分に、仰角 3.25度で観測されたドップラー速度(注2)の水平分布です。赤い四角で囲まれた中に黄色(レーダから遠ざかる風を示す)の領域と青色(レーダに近づく風を示す)の領域があり、渦状の風が吹いていることがわかります。この渦は直径が数 100m 程度で竜巻よりも大きく、メソサイクロンと呼ばれる竜巻の親雲の渦であると推測されます。レーダで観測された高度約 150m の風速は最大で 27m/s 程度でした。

図2は5分毎のドップラー速度の図を並べたものです。赤い丸で囲まれた中にある渦はレーダでは13時56分頃から検出され、14時16分頃まで確認できました。この間に時速30km 程度で東に進んでおり、この渦の経路は竜巻の被害のあった範囲とほぼ一致します(図3)。
また、この渦とは別に図2の緑色の円で囲んだ範囲にも同様の渦が検出されており、千代田町萱野を13時50分頃から14時頃にかけて南西から北東へ時速約30kmで通過しました(図3)。この渦の移動経路にあたる千代田町萱野では、14時頃に突風によって小さな建物の屋根が破損する被害があり、この渦に関連した突風があったことが推察されます。

(注1)X-NET (首都圏Xバンド気象レーダネットワーク)は首都圏の大学・研究機関の Xバンドの研究用の気象レーダによる観測ネットワークで、防災科学技術研究所の2台のMPレーダ、防衛大学校、中央大学、日本気象協会のドップラーレーダで構成されています。

(注2)雨粒などにあたって跳ね返ってくる電波の周波数の変化から求めた物体の移動速度。

図1
図1:日本気象協会のレーダによって日本時間14時01分に仰角3.25 で観測されたドップラー速度の水平分布。青色はレーダに近づく風を、黄色はレーダから遠ざかる風を示す。右上は左の赤い四角の範囲の拡大図。

図2
図2:仰角2.3 で観測されたドップラー速度の5分毎の水平分布。各図の左上の時刻は日本時間、右下の黒い丸はレーダの位置を示す。

図3
図3:館林市周辺の地図とレーダで観測された渦の位置。赤い円(VORTEX B)は図2の赤い丸で囲まれた渦の各時刻の位置を、青い丸(VORTEX A)は図2の緑の円で囲まれた渦の各時刻の位置を示す。S.Market は軽自動車の横転などの被害があったスーパーマーケット、P.School は竜巻が校庭を横切り、樹木が折れるなどの被害があった館林市立第一小学校の位置を示す。