国立研究開発法人防災科学技術研究所 水・土砂防災研究部門
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三隅 良平

経歴・業績


経歴(所属した組織)

  • 昭和43年4月〜昭和45年3月 私立天道幼稚園
  • 昭和45年4月〜昭和48年3月 名古屋市立八事東小学校
  • 昭和48年4月〜昭和51年3月 名古屋市立表山小学校(野球部、試合出場経験なし)
  • 昭和51年4月〜昭和52年3月 吹田市立山田中学校(水泳部、400m自由形 吹田市9位【11人中】)
  • 昭和52年4月〜昭和54年3月 吹田市立千里丘中学校(テニス部)
  • 昭和54年4月〜昭和57年3月 大阪府立茨木高等学校(軟式庭球部)
  • 昭和57年4月〜昭和58年3月 大阪北予備校(浪人)
  • 昭和58年4月〜昭和62年3月 気象大学校(軟式テニス部、関東学生リーグ14部【最低レベル】)
  • 昭和62年4月〜平成元年3月 名古屋大学大学院理学研究科大気水圏科学専攻博士前期課程
  • 平成元年4月〜平成4年3月 名古屋大学大学院理学研究科 大気水圏科学専攻 博士後期課程
  • 平成4年4月〜平成9年3月 防災科学技術研究所 気圏・水圏地球科学技術研究部
  • 平成9年3月〜平成10年3月 Institute of Hydrology,UK(科学技術庁長期在外研究員)
  • 平成10年3月〜平成12年3月 防災科学技術研究所 気圏・水圏地球科学技術研究部
  • 平成12年4月〜平成12年12月 科学技術庁研究開発局企画課
  • 平成13年1月〜平成13年3月 文部科学省研究開発局開発企画課
  • 平成13年4月〜平成15年3月 防災科学技術研究所企画部
  • 平成15年4月〜平成18年3月 防災科学技術研究所 防災基盤科学技術研究部門
  • 平成18年4月〜平成23年3月 防災科学技術研究所 水・土砂防災研究部
  • 平成23年4月〜平成28年3月 防災科学技術研究所 観測予測研究領域 水・土砂防災研究ユニット
  • 平成28年4月〜現在     防災科学技術研究所 水・土砂防災研究部門

学位


  • 平成7年3月 博士(理学)(名古屋大学)

業績リスト(三隅良平)


所外での活動

  • 1986年12月〜    日本気象学会会員(2006年7月〜 SOLA編集委員)(2009年5月〜 気象災害委員)
  • 1992年10月〜    日本自然災害学会会員
  • 1999年6月       広島豪雨政府調査団
  • 2002年4月〜2003年3月 防災研究フォーラム事務局
  • 2002年4月〜2003年3月 国際陸上科学掘削計画国内調整連絡会委員
  • 2004年5月〜2009年3月 地盤工学会会員(2004年5月〜2006年3月「降雨時の斜面モニタリング技術とリアルタイム崩壊予測に関する研究委員会」委員)
  • 2005年4月〜      東京大学空間情報科学研究センター客員研究員
  • 2007年6月〜2011年11月 筑波大学大学院生命環境科学研究科准教授(筑波大学連携大学院
  • 2008年7月〜2016年7月 International Commission on Clouds and Precipitation委員
  • 2010年5月〜2013年3月 文部科学省科学技術・学術政策局 研究評価推進検討会委員
  • 2011年12月〜     筑波大学生命環境系教授(筑波大学連携大学院
  • 2014年3月〜2015年3月 文部科学省「今後の地球環境研究の在り方に関する検討会」構成員

資格

  • レーダー級海上特殊無線技士

著書

 雨にまつわる科学論争や、発見の歴史について記述した本です。「科学者が何を不思議に思ったのか」を知ることで、水循環に対する理解を深めていただければと思っています。

 最先端で仕事をされている豪雨や水害の研究者・技術者の皆様や気象キャスターの方々計40名以上に書いていただきました。気象学と土木工学を含めた総合的な視点から、水害対策を学べる書籍です。

 気象災害のメカニズムを中学生にも分かるように説明した書籍です。同時に「科学が進歩しても、気象災害の犠牲者がなかなか減らない理由」を私なりに考えてみました。

受賞


  • 文部科学大臣表彰科学技術賞(開発部門)「Xバンドマルチパラメータレーダによる降雨量推定手法の開発」(真木雅之・岩波越・前坂剛の各氏と共同受賞、平成25年4月16日)


これまで行ってきた研究


降水セルの相互作用に関する研究


5) R.Misumi, M.Divjak, S.Tanahashi and T.Takeda, 1994, A numerical study on the formation of organized convective storms: Part I. Formation patterns of long-lasting cells, Journal of the Meteorological Society of Japan, 72, 235-253.

4) R.Misumi, M.Divjak, S.Tanahashi and T.Takeda, 1994, A numerical study on the formation of organized convective storms: Part II. Dependence of "broken-line formation" of squall-line on its line direction, Journal of the Meteorological Society of Japan, 72, 873-884.

 この研究を始めた当時、「積乱雲の構造や挙動は、環境場(鉛直シアーや大気安定度)に決定的に支配される」という考え方が一般的でした。それに対して「いや、そうではない。積乱雲を構成する降水セル同士に相互作用があり、同じ環境場の中であっても多様な積乱雲がつくられる」ということを示そうとしたのが上記の論文です。数値モデルで水平一様な環境場をつくり、そこにランダムな位置に複数の降水セルを発達させ、その挙動が多様であることを示すとともに、多様な挙動が生じる理由を調べました。このテーマを指導教官の武田喬男先生から与えられたのが1987年、それから論文として出版されるまで7年もかかってしまいました。

 ある程度、研究目標は達成できたと思っています。しかし、反省点もいくつかあります。1つは、使用した数値モデルが大気と地表面との熱交換・運動量損失を考慮していないため、降水セルのつくる冷気プールが地表面で勢い良く広がり、冷気プールがその後の降水セルの挙動を決定的に支配してしまったことです。もう1つは冷気プールを形成する重要なプロセスである雨滴の蒸発過程について、Kessler型の簡単なパラメタリゼーションを使用したことです。冷気プールが重要であるなら、その形成過程を詳細に計算すべきでした。これらの問題点もありますが、論文で示したプロセスは現実にも起こり得るものであると考えています。

 その後、名大水圏研の耿驃さんと藤吉康志先生が、ドップラーレーダを用いた観測から、上記論文とは少し異なるものの、実際に降水セルの相互作用が起こっている実例を示しました(Fujiyoshi and Geng, 1995 ;Geng et al., 1997 )。このようなメソγスケールの対流系の相互作用の研究は、今後、都市における局地豪雨の予測において重要になっていくと考えています。

梅雨降水の長期変動の研究


6) R.Misumi, 1994, Variations of large-scale characteristics associated with the increment of Baiu precipitation around 1950, Journal of the Meteorological Society of Japan, 72, 107-121.

防災科学技術研究所に入所した直後、降水の長期変動の研究をするように指示され、梅雨期の降水量の長期変動を調べてみました。日本の気象官署の6〜7月の降水量を平均し、その年変化をグラフに書いてみると、はっきりとした数十年スケールの変動が見られてちょっと驚きました。特に1950年頃を境とした気候ジャンプが明確に見えます。

この論文は、1950年頃の気候ジャンプによって変化した気象要素を調べ、梅雨期の降水量が1950年頃を境に増加した理由を考察したものです。論文には使いませんでしたが、戦前の「極東天気図」を気象庁図書館に借りに行ったりしました。

論文刊行後、長らくこの論文は誰からも引用されませんでしたが、通勤バスで知り合ったJAMSTECのKrishnanさんが引用してくれて(Krishnan and Sugi 2001)、その後2〜3引用されるようになりました。

地形性降水の研究


8) R.Misumi, 1996, A study of the heavy rainfall over the Ohsumi Peninsula (Japan) caused by Typhoon 9307 , Journal of the Meteorological Society of Japan, 74, 101-113.

地形性降水といえば山脈の風上側で降水が増えるというイメージがありますが、山脈の風上ではなく、風下斜面で降水が強化された事例が平成5年台風7号豪雨で起こりました。この論文はその理由を解析したものです。強風によって降水粒子が風下に運ばれる(いわゆるspillover)の他に、山岳波によって上空に降水粒子が集中する場所ができることを、数値シミュレーションによって考察しました。

この時代はWRFとかCReSSのようなオープンな数値モデルがなく、非静力学モデルを自分で作る必要がありました。作ったのは2次元モデルですが、山岳波がきちんと表現されるまで随分苦労しました。

河川流量予測の研究


12) R.Misumi, V.A.Bell and R.J.Moore, 2001, River flow forecasting using a rainfall disaggregation model incorporating small-scale topographic effects, Meteorological Applications, 8, 297-305.

豪雨災害は雨のみによって起こるのではなく、河川のから水が溢れたり、地中に浸透した水が斜面を崩壊させることによって生じます。ですから、豪雨災害を理解しようと思ったら気象学だけを勉強するだけでは不充分で、水文学や地すべり学の理解が必須です。私は気象大学校を卒業したため、それまで水文学を学ぶ機会が全くありませんでした。

そこで科学技術庁の「長期在外研究制度」を利用して、イギリスのInstitute of Hydrologyで水文学を勉強することにしました。現地では分布型流出モデル(IH Grid Model)を気象予測モデルと組み合わせ、河川流量予測の実験を行いました。

上記論文はその成果をまとめたものです。共著のイギリス人に英語を直してもらったので、Queen's Englishで書かれています。

土砂災害発生予測の研究


17) 三隅良平・小口高・真木雅之・岩波越,2004,分布型流出モデルを用いた表層崩壊危険域のリアルタイム予測,自然災害科学,23,415-432.

37) 三隅良平・真木雅之・岩波越,2011,レーダ雨量に基づく土砂災害の発生評価 −都市域を対象に、神奈川県の場合―,天気,58(8),697-704.

平成5年の鹿児島豪雨、平成10年の栃木・福島豪雨と新潟豪雨、平成21年の山口豪雨、平成24年の熊本豪雨のなど、様々な豪雨災害現場を調査する機会がありました。その甚大な被害を見るたびに、土砂災害から人命を守るすべはないものか、と思います。事前に土砂災害を予測し、避難を促すことができればと考え、いくつかの研究を行ってきました。

上記17)では気象レーダの雨量を入力値とし、分布型流出モデルで地表・地中の水分移動を計算して、リアルタイムで斜面の表層崩壊危険域を計算するモデルを構築しました。論文37)ではより簡便な統計的なモデルを用いて、広域を対象に土砂災害危険度を計算するモデルをつくりました。

土砂災害予測の難しい点は、ほとんど同じ土地条件に同じ量の雨が降っても、崩れる斜面は高々100個に1個で、的中率を上げるのが困難なことです。より的中率を上げるために精密なモデルを作るのが良いのか、あるいは降雨の集中域のみを正確に予測することに注力すべきなのか、悩ましいところです。

またモデルの検証が難しいことも問題があります。なぜなら同一流域で斜面崩壊が発生するのはせいぜい数十年に1回程度で、検証データが十分に得られないからです。

これらの困難を克服し、より実用的な予測モデルを構築していきたいと考えています。

ビン法雲物理モデルの開発


19) 三隅良平・圓山憲一,2004,降水形成過程の数値モデリング,防災科学技術研究所研究報告,65,77-96.

27) 三隅良平・圓山憲一,2008:下層空気の収束による積乱雲の降水強化−形成される下層雲の役割に注目した数値実験−,天気,55(7),567-580.

31) R.Misumi, A.Hashimoto, M.Murakami, N.Kuba, N.Orikasa, A.Saito, T.Tajiri, K.Yamashita and J.P.Chen, 2010, Microphysical structure of a developing convective snow cloud simulated by an improved version of the multi-dimensional bin model, Atmospheric Science Letters, 11, DOI: 10.1002/asl.268.

研究者は自らの「知的好奇心」をモチベーションに研究を行うべきである、とよく言われます。私も純粋にこの言葉を信じてきました。しかし私のような、あれこれ知りたがる割に理解の遅い人間がこれをやると、いろいろな分野をただ「つまみ食い」するだけの結果になってしまいます。

そこで反省し、自分の知的好奇心ではなく、「学界でどのような研究が必要とされているか」を考えて研究テーマを設定することにしました。1999年頃、学界での気象の力学モデルの開発は、非静力学モデルが完成されて、ひと息ついた感がありました。おそらく次は素過程に重点が置かれるだろう、と想像しました。気象(気候)の素過程といえば、放射、境界層、雲物理などがありますが、この中で自分が貢献できるとすれば答えは「雲物理」になります。

同じ頃、防災科学技術研究所でマルチパラメータレーダ(Xバンド、Kaバンド、Wバンド)の製作が始まったことも、雲物理モデル開発の追い風になりました。

とりあえず、Reisin et al. (1996)を参考に、ビン法雲物理モデルを組みあげて学会発表をしたところ、思った以上の反響がありました。詳細な雲物理モデルに対して強いニーズがあることを確信しました。(1999年気象学会秋季大会)

こうしてモデル開発に取り組み始めたのですが、その矢先に人事異動を命じられ、2000年科学技術庁研究開発局、2001〜2002年は防災科学技術研究所の企画部で働くことになり、3年間は研究から離れて行政の仕事に携わりました。

2003年に研究業務に戻り、ビン法雲物理モデルについて自分が書いていたノートを、研究報告として印刷しました(上記19)。また圓山憲一さんの協力を得て、ビン法モデルを2次元力学モデルに組み込み、下層雲と積乱雲の相互作用について研究しました(上記27)。

2004年頃、気象研究所の村上正隆さんの呼びかけで、国立台湾大学のJ.P.Chenさんのモデルをベースにした詳細雲物理モデルの研究会が始まりました。Chenさんの学位論文を精読するところから勉強会を始めたのですが、学位論文がまるで1冊の雲物理の教科書のようになっていて、そのレベルの高さに舌を巻いたものです。

Chenさんのモデルの特徴は、雲粒子の特性を多次元で表現していることです。従来のモデルでは、降水粒子を雨・雪・霰などにカテゴリー分けされたものが多いのですが、カテゴリー間を粒子が移動する時に一種のルールをつくる必要があり、どうしても非物理的な扱いが入ってきます。Chenさんのモデルでは降水粒子の形成過程をシームレスかつ物理的に計算することができます。

但しこのモデルの悩ましい点は、次元の数が多いために、モデルのデバッグが大変なことです。小さなプログラムのバグを発見するのに半年要したこともありました。あれやこれやと苦労して、Chenさんのモデルの次元をさらに増やして計算した結果が上記31です。無次元のパーセルモデルですが、雲物理は4つの次元があり、日本海の雪雲における降雪粒子の形成過程を詳細に計算することができました。

多次元ビン法モデルは、MuBin(ムービン)という名前で、引き続き開発が続いています。


連携大学院講義(筑波大学大学院生命環境科学研究科)



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