国立研究開発法人防災科学技術研究所 水・土砂防災研究部門
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山北町世附 斜面崩壊・土石流

山北村世附位置図.jpg

世附地区浅瀬 表層崩壊が土石流化して民家を直撃


9月8日午後3時半頃、山北町世附において土石流が発生し、民家に直撃して3名の方が負傷した。

写真A-1とA-2は被災地の写真であるが、土石流は民家の1階部分を削っていることがわかる。
民家の脇には排水溝が設けられており(写真A-3)、平常時からある程度の水量があったと考えられる。
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土石流は急勾配の谷地形(沢)の中を約430 m流下した(写真A-3、A-4)。
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土石流の源頭部には表層崩壊地が形成されており、表層崩壊の崩土が土石流化してと考えられる(写真A-5)。
崩壊地の斜面勾配は約38°、崩壊深1〜1.3m、崩壊長約22m、崩壊幅約12mであった(図)。
表層崩壊のすべり面は、黒色の火山灰起源とされる黒ボク土と火砕堆積物が風化したと考えられる褐色土層との境界付近に形成されている(写真A-5)。
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世附浅瀬崩壊形状.jpg

世附地区浅瀬の対岸、林道脇斜面 表層崩壊


林道世附線に面する斜面で表層崩壊が発生した(写真B-1)。
崩壊地の斜面勾配は約37°、崩壊深1.3〜1.8m、崩壊長約30m、崩壊幅約20mであった(図)。
表層崩壊のすべり面は、世附地区浅瀬の崩壊地と同様に、黒色の黒ボク土とその下部の褐色土層との境界付近に形成されている(写真B-2)。
簡易貫入試験による土層構造の調査結果から、黒ボク土などからなる崩壊面よりも浅部の土層は崩壊面より深部の土層よりも軟弱であることがわかる(図)。
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世附林道脇崩壊形状.jpg


世附地区世附大橋付近 岩盤崩壊


世附大橋付近の林道世附線脇で比較的規模の大きな岩盤崩壊が発生して、林道を埋積した(写真C-1、C-2、C-3)。
崩壊の規模は、深さ2〜4m、勾配約38°、幅約18m、長さ約68mである。付近の地質は玄武岩-安山岩質の火砕岩であり、崩壊は流れ盤斜面に発生した。
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崩壊前の斜面の一部は法面であった(写真C-4)。
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崩壊面には著しく破砕された凝灰岩の弱層が存在しており、この弱層が豪雨による雨水の浸透により強度低下したことが崩壊の原因と考えられる(写真C-5、C-6)。
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土砂流出

山北町の多くの沢で、土砂流出が発生しており(例えば写真D-1、D-2、D-3)、沢の上流では斜面崩壊が発生してる場所も多いと考えられる。
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2010年9月8日神奈川県山北町大雨被害調査