国立研究開発法人防災科学技術研究所 水・土砂防災研究部門
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津和野川周辺の浸水被害状況

 津和野川の本流は水位が2m以上上昇したが,大きな決壊や越水はなく津和野町の中心部に甚大な浸水被害を及ぼさなかった.被害は流域の南西部を流れる支流名賀川沿いで多発した.
 図1のL1地点では,山口線の線路下にある暗渠(幅1.25m,高さ1.85m×2)を含む斜面が,長さ8m,高さ4m程度崩壊した.線路を潜った反対側は土石流の土砂に埋まっていると思われる.この土石流と崩壊には何らかの関係がある可能性がある(たとえば,背面の土砂埋積による急激な水圧上昇が排水構内に過剰な水圧を加え前面崩壊に繋がった?).
 L1地点から下流側にある,崩壊地4カ所(L2地点など),土石流1カ所,および河岸や中洲などから大量の土砂と樹木が流出したと思われる.それらに加えて,さらに上流(多数の崩壊・土石流が発生している)からの供給もあったと思われるが,L1地点より上流100m程度の河床はあまり乱れていないので,上流から図1の範囲への土木の流下はそれほど多くないと考えられる.
 L2地点から津和野川との合流点に近いR2地点までの県道13号上に流木が残されており,護岸,道路の侵食がいたるところで確認できた.被災状況と付近住民からの聞取り内容などから,この区間で流木などが橋に引っかかり,一時的に天然ダムが形成された可能性が高いと考えられる.

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図1.津和野地区の被害の様子