国立研究開発法人防災科学技術研究所 水・土砂防災研究部門
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八百津町野上 表層崩壊が土石流化して民家を直撃

被害の状況


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7月15日20時40分頃、八百津町野上において土石流が発生し、民家1棟を直撃して3名の方が亡くなった。

写真?・?は被災地の写真であるが、赤いパワーショベルの辺りに土石流が直撃した家屋が建っていた。
現場では大きな排水溝などは確認できないことから、平常時は全く水が流れていないか流れていてもごくわずかであったと考えられる。
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土石流はかなり急勾配の谷地形(沢)の中を流下した(写真?・?)。土石流の上流部から民家までは沢は直線的であり、土石流はエネルギーを失わずに流下したのであろう。
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土石流の最上流部には崩壊深1m以下の表層崩壊地が2つ形成されており、表層崩壊の崩土が流動化したと考えられる(写真?・?)。表層崩壊は、尾根付近から発生しており、岩盤がすべり台となりその上に崩土となった土層が載っている、水を集めて崩れやすい地盤構造であったと考えられる。なお、調査地の地質は砂岩が主体であった(写真?)。
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被災地周辺に発生したいくつかの土石流についても踏査したが、ほぼ全ての最上流部に表層崩壊地が形成されており、表層崩壊が土石流の主な発生要因であったことが考えられる。

また、八百津町野上において土石流に押しつぶされた民家はもう1棟あったが(A地点、土石流は15日20時15分頃発生)、そこの住民は、これまで経験したことのない雨であったこと、斜面から砂利が混ざった泥水が流れてきたことを理由に災害の直前(18時から19時過ぎ)に避難していた。



2010年7月15日岐阜県八百津町・可児市大雨被害調査