更新履歴
- 令和5年7月14日 初版
連絡先
- 水・土砂防災研究部門 下瀬・出世・横山
本サイトの短縮URL → https://mizu.bosai.go.jp/key/20230712gust
概要
2023年7月12日17時20分頃,茨城県行方市で突風(風速約35m,JEF0,ダウンバーストまたはガストフロントの可能性)が発生し,倉庫の倒壊・飛散,住家の屋根瓦のめくれ,電柱の折損などの被害がありました.(令和5年7月12日に茨城県行方市で発生した突風について(気象庁機動調査班による現地調査の報告)).突風発生時には,活発な積乱雲が行方市付近を通過していました(7月12日の突風発生時の気象状況(水戸地方気象台)).
水・土砂防災研究部門では,国土交通省XRAINの3次元観測データを用いて突風をもたらした積乱雲の特徴を解析し,上空のひょうの存在を示すシグナルを確認しました.なお,研究に活用するために,「ふるリポ!」にて,ひょう、突風などの気象状況に関するリポート情報をお願いします.
突風をもたらした積乱雲について
降雨強度
図1に,15時00分から17時58分にかけてのレーダ観測に基づく降雨強度を示す.突風が発生した行方市付近では100mm/hを超える非常に強い雨を伴う2つの積乱雲が,16時30分頃〜および17時頃〜に連続して通過した.17時20分頃発生した突風をもたらした積乱雲は2回目に通過した積乱雲であったと考えられる.
図1.15時00分から17時58分の国土交通省XRAINの降雨強度[mm/h].
積乱雲上空のひょうのシグナル
図2は国土交通省および防災科研のXバンドMPレーダの3次元データを用いて解析,推定した高度3500m付近でのレーダ反射因子Zh(左図)とひょうの分布(右図)である.突風が発生した17時20分頃には,積乱雲の上空にレーダ反射因子が45dBZを超える強いエコーが存在し,MPレーダパラメータの解析からひょうの存在が示唆された.
図2.国土交通省および防災科研のXバンドMPレーダより解析した17時00分,17時10分,17時20分の高度3500m付近での(左図)レーダ反射因子[dBZ]と(右図)ひょうの存在確度(赤が確度大).