国立研究開発法人防災科学技術研究所 水・土砂防災研究部門
国立研究開発法人防災科学技術研究所 水・土砂防災研究部門
トップ 一覧 検索 ヘルプ RSS ログイン

2023年8月1日茨城で発生した突風

更新履歴

  • 令和5年8月2日 初版

連絡先 

本サイトの短縮URL → https://mizu.bosai.go.jp/key/20230801gust

概要

2023年8月1日に,茨城県つくばみらい市で突風が発生し,住家破損などの被害が発生しました(気象庁機動調査班による現地調査の報告:令和5年8月1日に茨城県つくばみらい市にかけて発生した突風について).突風発生時には,活発な積乱雲が付近を通過していました(8月1日の突風発生時の気象状況:水戸地方気象台まとめ).

水・土砂防災研究部門では,気象レーダーからひょうを推定するアルゴリズムの開発を進めています。国土交通省XRAINの3次元観測データを用いて突風をもたらした積乱雲の特徴を解析し,上空のひょうの存在を示すシグナルを確認しました.なお,研究に活用するために,「ふるリポ!」にて,ひょう、突風などの気象状況に関するリポート情報をお願いします.

突風をもたらした積乱雲について

 降雨強度

図1に,09時00分から12時30分にかけてのレーダ観測に基づく降雨強度を示す.突風が発生した茨城県つくばみらい市やつくば市周辺では,10時30分頃から約1時間の間に100mm/hを超える非常に強い雨を伴う積乱雲が発生していたことが分かる.つくばみらい市に突風をもたらした積乱雲は,10時すぎに坂東市,常総市周辺で発生後急発達し,11時頃から12時頃にかけてつくばみらい市を通過した.
2p-mlitcx_20230801-b.gif
図1.2023年8月1日9時00分から12時34分の国土交通省XRAINの降雨強度[mm/h].図中の黒線で囲んだ範囲は,図2の位置.

 地上気象リポート

図2は9時00分から12時30分に「ふるリポ!」に報告があったにひょう,あられ,強風・突風リポートの分布である.常総市とつくば市で1〜3cmの大きさのひょう,つくば市,牛久市,土浦市であられが確認された.またつくば市の広い範囲より強風・突風の報告があった.
FURURIPO_20230801_0900-1230jst.jpg
図2.2023年8月1日9時00分から12時30分に「ふるリポ!」に報告されたひょう,あられ,強風・突風リポート.

 積乱雲上空のひょうのシグナル

図3は国土交通省および防災科研のXバンドMPレーダの3次元データを用いて解析,推定した高度3250m付近でのレーダ反射因子Zh(上図)とひょうの分布(下図)である.いずれも9時00分から12時25分にかけての5分間隔のデータを重ね合わせ各地点の最大値を描画した.突風をもたらした積乱雲の上空にはレーダ反射因子が50dBZを超える非常に強いエコーが存在した.またMPレーダパラメータの解析から,積乱雲の上空にはひょうの存在を示す強いシグナルが確認された.
ref-hail_20230801_0900-1225jst.jpg
図3.国土交通省および防災科研のXバンドMPレーダより解析した9時00分から12時25分の高度3250m付近でのレーダ反射因子[dBZ]とひょうの存在確度(赤が確度大)の最大値.

現地調査

調査日時:2023年8月2日 9:00〜13:00
調査者:下瀬 健一横山 仁
調査場所:茨城県つくばみらい市
調査名目:2023年8月1日09:00から12:30にかけての突風による被害調査
調査概要:茨城県つくばみらい市付近において、住宅等の被害を確認
つくばみらい市西ノ台.jpg
写真1.茨城県つくばみらい市西ノ台付近
つくばみらい市板橋1.jpg
写真2.茨城県つくばみらい市板橋付近