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東京都周辺で発生した局地的大雨・突風(2025年9月11日)

更新履歴

  • 令和7年9月12日 初版
  • 令和7年9月12日 第2版「東京都大田区周辺の突風」を追加しました(21時頃).

連絡先 

  • 極端気象災害研究領域 水・土砂防災研究部門 前坂

本サイトの短縮URL → https://mizu.bosai.go.jp/key/20250911

概要

2025年9月11日14時50分頃(日本標準時)に,東京都・神奈川県境付近で1時間当たり100 mmを超える降雨が解析され,東京都・神奈川県で記録的短時間大雨情報が発表されました.また,東京都周辺では突風による被害も発生しました.当時,前線が西日本の日本海側から関東地方を通って日本の東にのびており,関東地方では,前線に向かって流れ込む暖かく湿った空気や上空の寒気の影響で,大気の状態が非常に不安定となっていました.

東京都周辺の積算雨量

降雨強度と積算雨量の分布の時間変化を示した動画を YouTube に公開しました.

  YouTube: 東京都周辺の積算雨量(2025年9月11日12時から18時)

https://youtu.be/fjKWdKbnTFY?si=5APMDsLWJ90Q_roJ
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当時,神奈川県川崎市付近で発生した強い積乱雲は移動速度が遅かったため,その周辺の限られた領域で積算雨量が増加しました.さらに,西側から移動してくる雨域が合流するタイミングでその降雨が強まりました.このとき,関東地方では他の積乱雲も多く発生しており,各地で突風などによる被害が発生しました.

木更津市上空で観測されたメソサイクロン

2025年9月11日14時50分頃,千葉県木更津市の金田地区周辺で竜巻とみられる渦の目撃情報が多くありました.木更津市に設置した防災科研のXバンドMPレーダーと国土交通省XRAINのXバンドMPレーダーを用いて,木更津市周辺の降雨と風向・風速の分布を解析したところ.金田地区周辺でメソサイクロン(直径数キロメートル程度の低気圧性循環)が形成され,南東方向から北西方向へと通過していたことが分かりました.メソサイクロンは竜巻発生時によく見られる上空の渦であり,今回目撃されている竜巻の形成にもこのメソサイクロンが寄与していたと考えられます.また,メソサイクロン周辺には,フックエコーとよばれる鈎状の降雨域も観測されました.

メソサイクロンを伴う積乱雲はスーパーセルと呼ばれ,このスーパーセルは竜巻や降雹等の極端気象を引き起こすことで知られています.今回のスーパーセルに伴う降水の強さは,他のスーパーセルに比べて弱く,上昇流の強さもそれほど強くは無かったと考えられます.

メソサイクロン(スーパーセル)の移動方向に着目すると,このときの周辺の積乱雲はおよそ南西方向から北東方向へ移動していますが(Youtube動画参照),このメソサイクロン(スーパーセル)は異なる方向(南東方向から北西方向)へ移動していました.


250911Kisarazu_rruvvor.png
防災科研のXバンドMPレーダー(木更津市に設置)及び国土交通省XRAINのXバンドMPレーダーを用いて解析したメソサイクロン周辺の降雨と風の分布.時刻は日本標準時.上段)カラースケールは降雨強度を,矢羽根はメソサイクロンの移動(西方向に2 m/s,北方向に3 m/s)に相対的な風向・風速の分布を示す.下段)カラースケールは鉛直渦度を示し,矢羽根は上段に同じ.△は竜巻が目撃された東京湾アクアライン木更津金田インターチェンジの位置を示す.
鉛直渦度の極大域(最大値 1.5×10-2 /s)で示されるメソサイクロンが木更津金田インターチェンジ付近を南東方向から北西方向に通過してお
り,メソサイクロン周辺ではフック状の降雨域(フックエコー,図中に白抜き矢印で示す)が形成されていた.


PDF版の解析図はこちら→ 250911Kisarazu_rruvvor.pdf(184) (2.35 MB)

東京都大田区周辺の突風

2025年9月11日15時30分頃,東京都大田区令和島のコンテナふ頭で複数のコンテナが倒れるような突風が発生しました.当時,南西-北東の走向をもつ線状の降雨域が東進しており,突風が発生した15時30分頃にこの降雨域は令和島を通過しました.高度1 kmでの広い範囲で北東風が見られましたが,降雨域の南東側に沿って強い北西風(最大で14m/s程度)が解析されました.これは降雨域を形成する積乱雲下部からの吹き出し(水平発散)によるものと考えられます.特に,降雨強度の強い箇所では水平発散も大きくなっており,局所的に水平風が強化された可能性があります.


250911Reiwajima.png
防災科研のXバンドMPレーダー(木更津市に設置)及び国土交通省XRAINのXバンドMPレーダーを用いて解析した東京都大田区周辺の風向・風速(高度1km)の分布.時刻は日本標準時.左)カラースケールは降雨強度を,矢羽根は風向・風速の分布を示す.中)カラースケールは水平風速を示し,矢羽根は左に同じ.右)カラースケールは水平発散を示し,矢羽根は左に同じ.△は突風が発生した大田区令和島の位置を示す.


PDF版の解析図はこちら→ 250911Reiwajima.pdf(180) (3.57 MB)