国立研究開発法人防災科学技術研究所 水・土砂防災研究部門
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平成28年台風第10号の大雨による被災者数の推定

更新履歴

  • 平成28年9月1日 初版

連絡先 

  • 水・土砂防災研究部門 三隅
  • 災害過程研究部門 鈴木
  • 広報課担当者 菊地・三好(029-863-7784)

 はじめに

平成28年台風第10号の大雨による被災者数を推定するため、24時間降水量と曝露人口の関係を調査しました。方法は、気象庁作成の「1km メッシュ解析雨量」に基づく24時間雨量(8月30日9:00〜31日9:00)と「平成22年度国勢調査地域メッシュ統計」に基づく人口データの重ね合わせ、降水量が一定値を超えた範囲の人口を算出しました。

 被災可能性のある降水量の閾値

盛岡地方気象台(岩手県)、帯広測候所(北海道)の統計によると、24時間降水量が150mmを超えることは極めて稀であり、両観測所で24時間降水量が200mmを超えたことは過去にありません。そこで軽微な災害発生も考慮し、24時間降水量100mmを被害の閾値とし、さらに甚大な被害を受けた可能性のある200mm、250mm、300mm以上の降水量に対する曝露人口を算出しました。

(注)実際には降水量が100mm未満でも、河川の下流などで被害を受ける場合があり、ここで用いる手法はあくまで即時的なものです。

 岩手県における推定被災者数

iwate_24hpr.png
図1.岩手県周辺の24時間雨量(8月30日0:00〜31日9:00)。データは1kmメッシュ解析雨量。

表1.降水量と曝露人口
24時間降水量 曝露人口
100mm以上 129913人
200mm以上 2235人
250mm以上 0人

 北海道における推定被災者数


hokkaido_24hpr.png
図2.北海道中央部の24時間雨量(8月30日9:00〜31日9:00)。データは1kmメッシュ解析雨量。

表2.降水量と曝露人口
24時間降水量 曝露人口
100mm以上 66809人
200mm以上 1004人
250mm以上 211人
300mm以上 26人

 過去の気象記録(参考)

表3 盛岡地方気象台における最大24時間雨量の記録
順位 24時間降水量 年月日
1位 198.5mm 2007/9/17
2位 181.0mm 2002/7/10
3位 159.0mm 1982/8/31
4位 156.0mm 1987/8/17
5位 127.0mm 1979/8/5

表4 帯広測候所における最大24時間雨量の記録
順位 24時間降水量 年月日
1位 186.5mm 1988/11/24
2位 164.5mm 2003/8/9
3位 147.0mm 1981/8/5
4位 138.0mm 1975/3/22
5位 135.0mm 2001/9/11