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2026年7月大雨の栃木県足利市周辺での土砂流出推定範囲の抽出

本サイトの短縮URL → https://mizu.bosai.go.jp/key/202607_ashikaga

更新履歴

 2026年7月30日12:00 初版
(本HPで公開されている情報は速報版のため後日修正されることがあります)

連絡先

 水・土砂防災研究部門 秋田・飯塚

概要

2026年7月17日から18日にかけて、北関東を中心に局地的な記録的大雨が発生し、栃木県足利市では住宅倒壊による人的被害、群馬県前橋市では橋梁の崩落など、各地で甚大な被害が発生しました。特に、足利市では24時間降水量が約237 mmに達し、観測史上最大級の降雨を記録しました。そこで、今回の大雨による土砂流出の実態を把握するため、栃木県足利市周辺を対象として解析領域(421.4 km²)を設定しました。大雨前後に取得した光学衛星画像からNDVI(正規化植生指数)を算出し、その差分値を用いて土砂流出推定範囲を抽出しました。その結果、図1および図2に示すように、大岩山や行道山などの山間部を中心として広域的な土砂流出範囲が確認されました。また、解析領域全体では約170箇所の土砂流出地点が抽出され、本豪雨により山間部を中心に多数の斜面崩壊・土砂流出が発生したことが明らかとなりました。

Fig1.png
図1:土砂流出範囲の推定結果(広域)
Fig2.png
図2:土砂流出範囲の推定結果(一部拡大)

(抽出手法についての説明)

近年は斜面崩壊や土石流といった土砂移動現象による土砂災害が広域的に発生するケースが見られ、災害後の応急復旧のためにも土砂流出の発生場所とその範囲を把握することが必要です。このような応急対応に資する情報発信を目的として、土砂流出推定範囲を抽出する手法の開発に取り組んでいます。
Sentinel-2衛星データを使用し、NDVI差分値に閾値を定めて二値化画像を作成し、斜面傾斜角により土砂流出の推定範囲を抽出します。
-使用した光学衛星データ-
Sentinel-2/MSI(分解能10m、L2A)
大雨前:2026年7月15日AM8:59(JST)撮影
大雨後:2026年7月20日AM8:59(JST)撮影
※GISアプリケーションは、ArcGIS Pro(ESRI)を使用。

解析領域は、強雨域を広域にカバーするように設定します。なお、使用した衛星データは空間分解能10mであるため、この大きさよりも小さい変化は明瞭に捉えられません。斜面崩壊や土石流などの土砂移動現象により裸地化した範囲は図3のようにNDVI差分値が大きくなり、白色であらわれます。
次にNDVI差分値に閾値を定め、土砂流出の可能性のある範囲を抽出します。閾値は0.20以上を適用し1)、土砂流出の可能性のある範囲を抽出します。加えて、国土地理院10mDEM 2) を使用して解析領域での傾斜角を整理し、既存の調査結果など 3)4) から、斜面傾斜角15度以上を土砂流出推定範囲と判断しています。

Fig3.png
図3:NDVI差分画像(足利市周辺)