国立研究開発法人防災科学技術研究所 水・土砂防災研究部門
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可児市土田 可児川の氾濫による道路冠水

被害の状況


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 7月15日20時前、可児市土田の名鉄広見線と可児川が交差地点の上流側で可児川が氾濫した。氾濫した水によって可児川に沿う市道が冠水して、3名が流された(1名死亡,2名行方不明(7月20日現在))。

 氾濫したのは可児川の右岸である(写真?・?・?)。氾濫場所には堤防が設けられていない。氾濫した水は、周囲より低い可児川に沿う市道が名鉄広見線を潜る場所に集中して、ここで車が動かなくなった3名が流されたようである(写真?)。また、可児川沿いに駐車していたトラック20数台もこの場所まで流されて一部は線路に乗り上げた。
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 氾濫場所付近の可児川は岩盤河床であり、川には「鬼ヶ島」と呼ばれる流紋岩〜玄武岩質凝灰角レキ岩からなる川中島が形成されている(写真?)。
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 現地における大雑把な簡易測量をもとに、氾濫していなかった「とばしり橋」直下(写真?)と氾濫した名鉄広見線の高架橋直下(写真?)との河道断面積と洪水時の流積(河川流路断面のうち水が流れた部分の面積)をそれぞれ比較してみる。洪水氾濫時の水位は、増水によって草やごみが付着した痕跡と7月25日の水面との比高を計測することにより推定した。
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河道断面積
とばしり橋下- 川幅約75m×深さ約6.5m(ただし、7月25日の水面と堤面との比高) = 約500m2
名鉄広見線の高架橋下- 川幅約37m×深さ約7m(ただし、7月25日の水面と堤面との比高) = 約260m2

流積
とばしり橋下- 川幅約75m×水深約4m(ただし、7月25日の水面からの比高) = 流積約300m2
名鉄広見線の高架橋下- 川幅約37m×水深約7m(ただし、7月25日の水面からの比高) = 流積約260m2
両者の差- 約40m2

以上の結果より、名鉄広見線下の河床は、とばしり橋下よりもかなり河道断面積が小さく、また流積の比較からも今回増水した水量をすべて流しきることができなかったことが考えられる。(両地点は、河床勾配や河床の形状(粗度)はほぼ同じであると考えられる。)
また、上述のように、この2つの橋の中間には川中島(鬼ヶ島)があり、そのためこの場所の河道断面積はとばしり橋下よりもかなり小さくなっていた。
したがって、とばしり橋よりも下流部は、河道断面積が小さくなっており、このことが氾濫の素因となった可能性がある。




2010年7月15日岐阜県八百津町・可児市大雨被害調査