更新履歴
- 平成28年8月26日 初版
連絡先
- 水土砂防災研究部門 栢原・三隅
- 広報課担当者 菊地・三好(029-863-7784)
はじめに
私たちが運用しております「台風災害データベースシステム」では、1951年からの日本に被害を与えた台風に関する情報を検索する機能と現在接近中の台風に類似する経路を持つ台風経路を表示する機能を備えています。接近台風表示では、現在の台風位置と1.5度(または3度)以上離れた前の位置との2点間を通過した台風を検索し、経路を表示することができます。
平成28年8月26日 更新情報
概要
台風第10号は、日本の南海上を東に進行し、30日から31日に東日本周辺に上陸する予報となっております。そこで、太平洋側から日本海側に縦断して、日本に人的被害を与えた台風を当データベースシステムで調べると、1959年第7号、1962年第14号、1982年第10号、1989年第13号、2015年第18号が存在しました。
1959年台風第7号
1959年台風第7号は、8月14日6時半頃に駿河湾から富士川河口付近に上陸し、7時半頃には甲府盆地の西部を非常に速い速度で北上した。
被害は近畿地方から東北地方南部にわたる24都府県におよんだが、近畿・北陸などの被害は主として前線の大雨に伴った洪水によるものであり、倒壊家屋に比して浸水家屋が圧倒的に多い。台風の進路に当たった静岡・山梨・長野各県では暴風による被害が甚大であった。死者•行方不明者235人、負傷者1528人(参考資料:気象要覧)
1962年台風第14号
1962年台風第14号は8月25日21時には潮岬の南東約140kmに達した。このため紀伊半島南部は夜半ごろから暴風雨となり、東海地方も風雨が強くなった。台風は26日4時には尾鷲の北東20kmの長島付近に上陸し、紀伊半島南部および東海地方は風速15m/s〜25m/sの暴風雨になった。
三重県南部の南島町は家屋の倒壊が続出し、災害救助法が適用された。滋賀県では農作物の被害が5億8千万円に達した。また犬上川の増水により国鉄東海道線が不通になった。愛知県では風による家屋の倒壊で死者が出た。静岡県では突風と竜巻が発生し、建物が倒壊し被害が大きかった。死者•行方不明者5人、負傷者45人(参考資料:気象要覧)
1982年台風第10号
7月31日に梅雨前線は関東の南海上から東へ伸びて停滞しており、一方、台風第10号は紀伊半島の南海上を北上して、8月2日0時ころに渥美半島へ上陸した。台風はそのまま北上して本州を縦断し、2日早朝に富山湾へ抜けた。1日の夕方から本州南部では台風の暴風域に入り、また、梅雨前線の降雨も活発化した。
被害は中国四国地方から東北地方にかけて広い範囲で発生し、特に奈良県では10名、大阪府では9名、三重県では24名、富山県では10名が亡くなったのを始め、全国で95名が亡くなった。住家の浸水被害は進路にあたった近畿・東海地方と進路の右にあたる中部地方で甚大であった。死者•行方不明者95人、負傷者174人(参考資料:気象要覧)
1989年台風第13号
1989年台風第13号は8月6日15時頃、銚子付近に上陸したあと、北北西に進んで本州を縦断し,7日0時頃に新潟県村上市沖の海上に抜けた。
台風の進路の右側にあたる福島県、山形県、宮城県では大雨となり、各地でがけ崩れなどが発生した。特に福島県猪苗代町では道路が崩壊し、走行中の車3台が川に転落して死者9人、行方不明2人を出した。他に福島県で3人、宮城県で1人が亡くなった。床上・床下浸水は全国で5000棟以上に上った。死者•行方不明者15人、負傷者26人(参考資料:気象要覧)
2015年台風第18号
台風第18号が9月9日10時過ぎに愛知県知多半島に上陸した後、日本海に進み、同日21時に温帯低気圧に変わった。台風第18号や台風から変わった低気圧に向かって南から湿った空気が流れ込んだ影響で、西日本から北日本にかけての広い範囲で大雨となり、特に関東地方と東北地方では記録的な大雨となった。平成27年9月9日から11日に関東地方及び東北地方で発生した豪雨については、「平成27年9月関東・東北豪雨」と命名された(9月18日)。(消防庁応急対策室)