国立研究開発法人防災科学技術研究所 水・土砂防災研究部門
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平成30年台風第21号による高潮について

(速報につき内容が更新・変更されることがあります。)

更新履歴

  • 平成30年9月7日 第一版

連絡先

  • 水土砂防災研究部門 飯塚・下川

概要

平成30年台風第21号は、大阪湾周辺に高潮による被害をもたらしました(図1)。高潮とは、気象的な原因(主に台風)により海面の高さ(潮位)が長時間にわたって平常よりも高く盛り上がる現象を言います。台風の中心域での低い気圧による海水の吸い上げ (周りからの押し上げ)と,強風による海岸への海水の吹き寄せ,という2つのしくみによって海面が高くなります。今回の高潮を再現した結果(図2)、大阪湾での約270cmの潮位上昇に対して、吸い上げによる効果が約70cm、吹き寄せによる効果が約200cm寄与していることが推定されました(図3)。また、実際の潮位は、気象的な原因による潮位上昇と天文潮が加わったものとなりますが、台風がさらに6日程度後に来た場合には、水位がさらに約50cm高くなっていた可能性が考えられます(図4)。

図1:神戸市周辺での高潮による被害状況。

図2:気象庁局地モデルの風と気圧を用いて推定された潮位偏差の様子。

図3:気圧のみ(左)および風のみ(右)を与えた場合に推定された潮位偏差。

図4:大阪湾における天文潮位の変化。