国立研究開発法人防災科学技術研究所 水・土砂防災研究部門
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2011年5月29日横浜市保土ヶ谷区の土砂災害

概要


 2011年5月29日午後11時頃、横浜市保土ヶ谷区岩井町で起きた崩落事故。崩れた土砂約300立方メートルが、約5メートル下の民家に押し寄せ、物置の一部を壊した。崖上にあった舗装路面や民家土台の一部、バイクなども一緒に崩れ落ちたが、けが人はなかった。この崖崩れで、周辺の民家4世帯11人が近くの公民館に自主避難し、うち数人が一夜を明かした。(2011年5月30日12時09分 読売新聞)

 水・土砂防災研究ユニットでは、「都市圏における複合水災害の発生予測に関する研究」の一環として、災害予測モデルの検証データを得る目的で災害調査を実施した。

調査員


若月 強・佐藤 高広(現地調査)、三隅 良平(MPレーダ雨量)

MPレーダによる24時間雨量(5月29日09時〜30日09時)



 防災科学技術研究所・海老名レーダによる推定雨量の分布。背景地図にはGoogle Earthを利用した。24時間雨量に関しては、被災地に特段の極大値は見られない。

MPレーダによる最大1時間雨量(5月29日09時〜30日09時)



 防災科学技術研究所・海老名レーダで推定された最大1時間雨量の分布。背景地図にはGoogle Earthを利用した。被災地における最大1時間雨量は12mm-14mm程度と見積もられる。

斜面崩壊の様子

・砂質の盛土が崩壊した
・崩壊した擁壁の高さ5m,幅14m,崩壊の厚さ約2m,崩壊面の勾配35°以上,崩壊の方向は南西(N120°W)
・崩壊した盛土と擁壁は,約40年前に作られており,擁壁前面の勾配は約80°と急勾配である

以下は,付近の住民や関係者からの情報
・数年前から擁壁にたわみが生じていた
・平成23年3月11日の東北地方太平洋沖地震の影響による地盤の緩みについては明らかではないが,明瞭な亀裂などは確認されていなかった
・崩壊当日の雨は,年に数度は発生するような豪雨であると感じた

岩井町崩壊4.jpg
岩井町崩壊3.jpg