国立研究開発法人防災科学技術研究所 水・土砂防災研究部門
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2022年6月2日に群馬県・埼玉県で発生した降ひょうの被害について(速報)

更新履歴

  • 令和4年6月3日20:00 初版

連絡先

  • 水・土砂防災研究部門 下瀬・鈴木・横山

 概要

2022年6月2日午後、群馬県・埼玉県を中心に降ひょうがあり、住家や農作物を中心に被害が生じた。
水・土砂防災研究部門では6月3日に現地調査を実施し、被害状況について調査を行った。

 2022年6月2日午後に降ひょうをもたらした積乱雲について

図1〜4は防災科研が公開している首都圏のリアルタイム極端気象情報をまとめ、地図に重ねて閲覧できるシステム「ソラチェク」(SORA CHECK)(https://isrs.bosai.go.jp/soracheck/storymap/)の雨(図1)・風(図2)・雷(図3)・ひょう(図4)に発達した積乱雲の表示を重ねて、6月2日17:10〜19:50までの10分毎のアニメーションとして作成したものである。降水強度80mm/hを超える発達した積乱雲が、群馬県高崎市付近から埼玉県越谷市付近まで南東方向に移動したことがわかる。この移動の間に,突風・激しい雷やひょうが各地にもたらされた。

サムネイル雨.png
(アニメーションはこちら)
図1.ソラチェク雨(カラー)に発達した積乱雲(赤線)を重ねた図の10分毎のアニメーション(6月2日17:10〜19:50)。XRAIN降雨強度を表示:(一財)河川情報センターから「水防災オープンデータ提供サービス」で配信されたのCバンドMPレーダ・ XバンドMPレーダ合成雨量(1分間雨量)を降雨強度に変換。解像度250m。
サムネイル風.png
(アニメーションはこちら)
図2.ソラチェク風(矢印)に発達した積乱雲(赤線)を重ねた図の10分毎のアニメーション(6月2日17:10〜19:50)。地上風向・風速(地上10m高度における平均風向・風速)を表示:首都圏の風観測データを数値シミュレーションに取り込んで、より現実に近い現象を再現するデータ同化技術を用いて求めた地上10m高度の平均風。解像度1km。
サムネイル雷.png
(アニメーションはこちら)
図3.ソラチェク雷(カラー)に発達した積乱雲(赤線)を重ねた図の10分毎のアニメーション(6月2日17:10〜19:50)。雷放電点密度を表示:防災科研の12台のLMA (Lightning Mapping Array)センサー(首都圏雷3次元観測システム「Tokyo LMA」)によって観測された前10分間の雷放電点密度。表示解像度1km。
サムネイル雹.png
(アニメーションはこちら)
図4.ソラチェクひょう(カラー:赤がひょうの確度高い)に発達した積乱雲(赤線)を重ねた図の10分毎のアニメーション(6月2日17:10〜19:50)。降ひょう推定域を表示:国土交通省と防災科研のXバンドMPレーダの3次元データから降ひょう域を推定。解像度500m。

 現地調査

調査日時:2022年6月3日 13:47〜15:31
調査者:横山 仁、小野貴之
調査場所:埼玉県児玉郡上里町
調査名目:2022年6月2日17:30から18:00にかけて降ったと思われる降ひょうによる被害調査
調査概要:上里町七本木の上里東小学校付近において、ひょう害を確認。
     建物ガラスの割れ、サイクルポートの割れ、車のボンネットの凹み、街路樹の落葉・枝折れ
     パイプハウスフィルムの穴および傷、温室ガラスの割れ、農作物(トウモロコシ、小麦)の倒伏・折れ、マルチフィルムの破れ

図1.png
図5.被害調査を実施した埼玉県上里町(位置:赤▽)

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図6.サイクルポートの破損(撮影場所:埼玉県上里町)

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図7.トウモロコシの倒伏、枝折れ(撮影場所:埼玉県上里町)

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図8.パイプハウスフィルムの傷、穴(撮影場所:埼玉県上里町)

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図9.ひょうのたまり(撮影場所:埼玉県上里町)

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図10.温室ガラスの割れ(撮影場所:埼玉県上里町)

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図11.車のボンネットのへこみ(撮影場所:埼玉県上里町)