更新履歴
- 令和5年7月13日 初版
連絡先
- 水・土砂防災研究部門 下瀬・出世・横山
本サイトの短縮URL → https://mizu.bosai.go.jp/key/20230710gust
概要
2023年7月10日17時30分頃から19時頃にかけて,栃木県野木町,茨城県下妻市で突風が発生し,プレハブが飛ばされ、倒木、仮設建築物の転倒などの被害が発生しました(気象庁機動調査班による現地調査の報告:令和5年7月10日に栃木県小山市から下都賀郡野木町にかけて発生した突風について,令和5年7月10日に茨城県下妻市で発生した突風について).突風発生時には,活発な積乱雲が付近を通過していました(7月10日の突風発生時の気象状況:宇都宮地方気象台まとめ,水戸地方気象台まとめ).
水・土砂防災研究部門では,国土交通省XRAINの3次元観測データを用いて突風をもたらした積乱雲の特徴を解析し,上空のひょうの存在を示すシグナルを確認しました.なお,研究に活用するために,「ふるリポ!」にて,ひょう、突風などの気象状況に関するリポート情報をお願いします.
突風をもたらした積乱雲について
降雨強度
図1に,17時00分から19時58分にかけてのレーダ観測に基づく降雨強度を示す.栃木県足利市付近で発生した積乱雲が100mm/hを超える非常に強い雨を伴いながら東南東方向に移動し,突風発生地域を通過したことが分かる.
図1.17時00分から19時58分の国土交通省XRAINの降雨強度[mm/h].
積乱雲上空のひょうのシグナル
図2は国土交通省および防災科研のXバンドMPレーダの3次元データを用いて解析,推定した高度4000m付近でのレーダ反射因子Zh(上図)とひょうの分布(下図)である.いずれも17時30分から19時55分にかけての5分間隔のデータを重ね合わせ各地点の最大値を描画した.突風をもたらした積乱雲の上空にはレーダ反射因子が50dBZを超える非常に強いエコーが存在し,MPレーダパラメータから示唆された帯状のひょうの領域はおよそ80kmに及んだことが分かる.
図2.国土交通省および防災科研のXバンドMPレーダより解析した17時30分から19時55分の高度4000m付近でのレーダ反射因子[dBZ]とひょうの存在確度(赤が確度大)の最大値.