更新履歴
- 令和5年7月13日 初版
連絡先
- 水・土砂防災研究部門 下瀬・出世・横山・加藤
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概要
2023年7月11日17時30分頃から19時頃にかけて,群馬県太田市、邑楽町、舘林市、板倉町,埼玉県羽生市、加須市、久喜市、幸手市,千葉県野田市,茨城県猿島郡五霞町・猿島郡境町・坂東市で突風が発生し,住家破損,農業用ハウス破損,倒木,支柱折損などの被害が発生しました(気象庁機動調査班による現地調査の報告:令和5年7月11日に群馬県太田市、邑楽町及び群馬県館林市から茨城県坂東市にかけて発生した突風について).突風発生時には,活発な積乱雲が付近を通過していました(7月11日の突風発生時の気象状況:前橋地方気象台まとめ,熊谷地方気象台まとめ,銚子地方気象台まとめ,水戸地方気象台まとめ).
水・土砂防災研究部門では,国土交通省XRAINの3次元観測データを用いて突風をもたらした積乱雲の特徴を解析し,上空のひょうの存在を示すシグナルを確認しました.なお,研究に活用するために,「ふるリポ!」にて,ひょう、突風などの気象状況に関するリポート情報をお願いします.
突風をもたらした積乱雲について
降雨強度
図1に,17時00分から19時58分にかけてのレーダ観測に基づく降雨強度を示す.群馬県伊勢崎市付近で発生した積乱雲が100mm/hを超える非常に強い雨を伴いながら東南東方向に移動し,突風発生地域を通過したことが分かる.
図1.17時00分から19時58分の国土交通省XRAINの降雨強度[mm/h].
図2.17時00分から19時59分30秒の埼玉大学に設置されている情報通信研究機構(NICT)のマルチパラメータフェイズドアレイ気象レーダー(MP-PAWR)の3次元レーダ反射因子.白,青,赤の等値面はそれぞれ 25 dBZe,35 dBZe, 45 dBZe の値に対応し,これらの値はおよそ 1 mm/hour, 6 mm/hour,24 mm/hour の降雨強度に相当する.地表面の影の部分は レーダーから60 km 以遠の観測範囲外を示す.
積乱雲上空のひょうのシグナル
図3は国土交通省および防災科研のXバンドMPレーダの3次元データを用いて解析,推定した高度4000m付近でのレーダ反射因子Zh(上図)とひょうの分布(下図)である.いずれも17時00分から19時55分にかけての5分間隔のデータを重ね合わせ各地点の最大値を描画した.突風をもたらした積乱雲の上空にはレーダ反射因子が50dBZを超える非常に強いエコーが存在し,MPレーダパラメータから示唆された帯状のひょうの領域はおよそ80kmに及んだことが分かる.
図3.国土交通省および防災科研のXバンドMPレーダより解析した17時00分から19時55分の高度4000m付近でのレーダ反射因子[dBZ]とひょうの存在確度(赤が確度大)の最大値.
現地調査
調査日時:2023年7月12日 9:00〜13:00
調査者:横山 仁
調査場所:茨城県境町百戸付近
調査名目:2023年7月11日16:00から21:00にかけての突風による被害調査
調査概要:茨城県境町百戸付近において、ゴルフ場および農業用ハウスの被害を確認
写真1.茨城県境町百戸付近
写真2.茨城県境町百戸付近
写真3.群馬県館林市野辺町
写真4.群馬県館林市楠町
写真5.埼玉県加須市北下新井