国立研究開発法人防災科学技術研究所 水・土砂防災研究部門
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2023年7月31日群馬で発生した雹・突風

更新履歴

  • 令和5年8月1日 初版

連絡先 

  • 水・土砂防災研究部門 出世・下瀬・横山

本サイトの短縮URL → https://mizu.bosai.go.jp/key/20230731hail

概要

2023年7月31日16時30分頃から18時30分頃にかけて,群馬県では活発な積乱雲が付近を通過し、大粒の雹が観測される他,突風とみられる被害も報告されています.

水・土砂防災研究部門では,国土交通省XRAINの3次元観測データを用いて突風をもたらした積乱雲の特徴を解析し,上空のひょうの存在を示すシグナルを確認しました.なお,研究に活用するために,「ふるリポ!」にて,ひょう、突風などの気象状況に関するリポート情報をお願いします.

降ひょう・突風をもたらした積乱雲について

 降雨強度

図1に,15時00分から18時58分にかけてのレーダ観測に基づく降雨強度を示す.群馬県高崎市付近で発生した積乱雲が100mm/hを超える非常に強い雨を伴いながら東南東方向の伊勢崎市方面に移動し,降ひょうや突風発生地域を通過したことが分かる.
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図1.17時00分から19時58分の国土交通省XRAINの降雨強度[mm/h].

 積乱雲上空のひょうのシグナル

図2は国土交通省および防災科研のXバンドMPレーダの3次元データを用いて解析,推定した高度4000m付近でのレーダ反射因子Zh(上図)とひょうの分布(下図)である.いずれも17時30分から19時55分にかけての5分間隔のデータを重ね合わせ各地点の最大値を描画した.突風をもたらした積乱雲の上空にはレーダ反射因子が50dBZを超える非常に強いエコーが存在し,MPレーダパラメータから示唆された帯状のひょうの領域はおよそ80kmに及んだことが分かる.
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図2.国土交通省および防災科研のXバンドMPレーダより解析した15時00分から18時55分の高度4000m付近でのレーダ反射因子[dBZ]とひょうの存在確度(赤が確度大)の最大値.