国立研究開発法人防災科学技術研究所 水・土砂防災研究部門
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2013年8月9日秋田県・岩手県の豪雨

更新履歴


第1報
2013年8月10日掲載
第2報
大館市・鹿角市の被害状況(2013年8月17日掲載)
第3報
秋田県仙北市田沢湖田沢,先達集落の斜面崩壊(2013年9月22日掲載)
第4報
平成25年秋田・岩手豪雨:仙北市田沢湖町田沢供養佛での聞き取り調査(2013年11月28日)


概要


2013年8月9日、秋田県・岩手県を中心に記録的な大雨が降り、秋田県仙北市や岩手県花巻市では土砂災害によって人的な被害が出ています。

半減期72時間実効雨量の分布(8月9日22:00現在)


半減期72時間実効雨量は、72時間前の雨量に対する係数が0.5となるように重みづけ積算した雨量で、土中の水分量をおおまかに見積もる値です。下の図は、気象庁レーダデータに基づく半減期72時間実効雨量の分布です(8月9日22:00現在。背景地図はGoogle Map)。

白神山地の風下にあたる大館市から鹿角市にかけて、および太平山地の風下にあたる仙北市から花巻市にかけて、大きな実効雨量が記録されており、これら2つの帯状領域では土砂災害のポテンシャルが高いと考えられます。

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秋田県大館市・鹿角市の被害状況(初期調査)


調査日:2013年8月15日
調査者:飯塚 聡

 大館市の状況



市街地の状況


大館市内の浸水は、市内を流れる長木川を花輪線が通る鉄橋近くの沼館、清水5丁目を中心とした地区(松木、釈迦内、清水3,4丁目にも)。沼館は山沿いを流れる下内川、清水は市内中心を流れる長木川に隣接した地区である。また、沼館の端で下内川は長木川に合流する。また、両地区には、幅、水深2m程度の農業用水や排水路が道沿いなどを含めて多数存在する。浸水した沼館近くの下内川にはコンクリートの護岸はなかったが、決壊した形跡も見られなかった。長木川も同様に決壊した様子は確認できなかった。これに対して、中心街から外れた山田川では決壊により近くの田んぼに影響、早口川では5,6棟の被害が見られた。岩瀬川でも護岸が削られている様子が見られた。

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早口川周辺の状況

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清水5丁目近くを流れる長木川の状況

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鹿角十和田末広周辺の花輪線の状況

当日の状況


大館市の方にお話を少し伺うことができた。この方は被害にあわれた沼館地区にお住まいの方とのこと。3時ごろから雨が降り出し、出勤時にはすでに道路の脇などは水浸しで歩行しにくい状況。朝の時点では注意報だったので通常通り出勤したが、清水では車のドアを開けると車内に水が入ってくる高さまで浸水が起こっていた。沼館では下内川方向から水が来るのに逆から来たとの発言を地元に長く住むかたから聞いたとのこと。ただし、沼館の被害は下内川に近い方で被害が大きいように見えた。
 その後警報が発令されたが、その際には沼館に車は入れない状況に。親族との連絡は電話で対応。午後3時には雨がおさまると同時に、浸水も急激に下がり、夕方には通常通り車の通行が可能となったとのことである。

 鹿角市の状況



市内の状況


国道沿いの警察署周辺で浸水被害が出たことが報告されているが、すでに通常の状態に戻っており、被害状況は目視できなかった。被害は福士川沿いで発生したとのこと。山から国道側で複数の用水路(幅、深さ2m程度)が複数流れているが、福士川のように濁流が流れた形跡が残っているものもあれば、はっきりしないものもあった。花輪北小学校の脇にも同様な用水路が道路わきにあり、そこから水が流れ出したものと思われる。また、その上流の道路沿いには側道に土砂が流れ込んでいる個所が見られた。

十和田末広周辺では道路や線路の下の土が削り取られる被害が複数見られた。末広近くで花輪線は現在も不通。山から大量の水がコンクリートの用水路を流れ、その周辺で盛り土が流された模様。大館から鹿角や大館から小坂の地域では、小規模な土石流や土砂崩れが国道沿いからいくつも確認できたが、比較的小規模であったことやすでに復旧作業が行われており、車両はほぼ通常通り通行していた。大館や鹿角付近では人的被害はなかったが、表層の土砂崩れなどは多数起きているものと思われる。

秋田県仙北市田沢湖田沢,先達集落の斜面崩壊


調査日:2013年9月12,13日
調査者:若月 強中谷 剛,三隅 良平,磯 敦雄,高橋 尚也

平成25年秋田・岩手豪雨:仙北市田沢湖町田沢供養佛での聞き取り調査