2017年7月の豪雨により九州北部地方(福岡県・大分県)および島根県で発生した土砂・洪水災害の現地調査報告
更新履歴
2017年8月10日 初版
本件に関する連絡先
水・土砂防災研究部門 若月、気象災害軽減イノベーションセンター/水・土砂防災研究部門 木村
広報課担当者 菊地・三好(029-863-7784)
概要
九州北部地方では、7月5日から6日にかけて対馬海峡付近に停滞した梅雨前線に向かって暖かく非常に湿った空気が流れ込んだ影響で、同じ場所に豪雨が長時間滞在する線状降水帯が発生したため、福岡県朝倉市や朝倉郡東峰村、大分県日田市で記録的な大雨となった。朝倉市や東峰村では、筑後川支川の佐田川、荷原川(いないばるがわ)、桂川、妙見川、奈良ヶ谷川、北川、寒水川(そうずがわ)、白木谷川、赤谷川、大肥川(おおひがわ)などで多数の斜面崩壊・土石流・河川氾濫が発生し、橋梁の流出・破損、道路の破壊、土砂堆積や倒流木によって多数の集落が一時孤立した。日田市では、小野地区椰野(なぎの)で発生した大規模な斜面崩壊が同地区を流れる小野川を堰き止め、住家や道路を破壊したほか、橋梁の流出・破損、道路の破壊、土砂堆積や倒流木によって多数の集落が一時孤立した。この豪雨による福岡県・大分県での人的被害は死者・行方不明者41名、負傷者16名、住家被害は全壊212棟、半壊656棟、一部破損65棟、床上・床下浸水1,563棟にのぼる(8月7日時点、消防庁)。
一方、島根県では、活発な前線の影響により7月4日から5日にかけて県西部を中心に記録的な大雨となり、益田市や浜田市で多数の斜面崩壊が発生した。浜田市金城町波佐(はざ)では、斜面崩壊により道路が寸断し、民家14世帯が一時孤立した。この豪雨による島根県での人的被害は負傷者1名、住家被害は半壊1棟、一部破損3棟、床上・床下浸水64棟にのぼる(8月7日時点、消防庁)。
これらの豪雨によって発生した土砂・洪水災害について、現地調査を実施して災害発生状況を把握するとともに、聞き取り調査を行った結果を報告する。なお、本報告は2017年8月10日時点での速報であり、数値等は今後の調査・解析により変更する可能性がある。
現地調査日−2017年7月18日〜21日
調査担当−
木村 誇(気象災害軽減イノベーションセンター/水・土砂防災研究部門)
若月 強(水・土砂防災研究部門)
山田 隆二(社会防災システム研究部門)
吉原 直志(水・土砂防災研究部門)
九州北部地方
朝倉市黒川地区宮園の三郡変成帯の泥質片岩の分布域における斜面崩壊地の様子:写真中央では、表層の風化土層が幅約20〜40 m、長さ約110 mにわたって崩壊している。崩壊深は頭部滑落崖では1 m程度とみられるが、斜面中腹の楔形に削剥された箇所はそれよりもやや深い。
朝倉市杷木赤谷地区杷木赤谷の花崗閃緑岩の分布域における斜面崩壊地の様子:斜面が幅約20〜40 m、長さ約60 mにわたって崩壊している。崩壊深は2〜3 m程度とみられる。
日田市鶴河内地区鶴城町で発生した斜面崩壊地の様子:地質分布図より火山岩類からなる斜面と考えられるが、基盤岩の岩種は遠望では確認できない。
佐田川本川・寺内ダムの湛水域に漂着した流木群:スギなどの植林木の幹が大半を占める。
島根県
浜田市三隅町の三郡変成帯の泥質片岩の分布域で発生した斜面崩壊地の様子
益田市金山町の田万川花崗岩類の分布域で発生した斜面崩壊地の様子
詳細はPDFファイルでご覧下さい
↓2017年(平成29年)7月の豪雨により九州北部地方(福岡県・大分県)および島根県で発生した土砂・洪水災害の現地調査報告
v170810.pdf(2858)
2017年7月の豪雨により九州北部地方および島根県で発生した土砂・洪水災害の現地調査報告
http://mizu.bosai.go.jp/key/2017kyushushimane